JPC 2026から考える「本当に子育てしやすい街」ランキング
「住みやすい街ランキング」って、なんだかんだ気になりませんか?
1位はどこなのか。
自分が住んでいる街は何位なのか。
「え、この街がそんなに上なの?」という意外性も含めて、ランキングを見るのは結構楽しいものです。
今回取り上げたいのは、森記念財団の**「日本の都市特性評価(Japan Power Cities:JPC)2026」**。
全国136都市を対象に、
- 経済・ビジネス
- 研究・開発
- 文化・交流
- 生活・居住
- 環境
- 交通・アクセス
という6分野、28の指標グループ、87の指標から都市を評価しています。
つまり、単なる「住みたい街ランキング」ではありません。
都市としてどれくらい強いのか。
それをかなり本格的に評価したランキングです。
そして、2歳の双子を育てている今、このランキングを見ていて思いました。
もし、このランキングを「子どもを育てる街」という視点で作り直したら、順位はどうなるんだろう?
今回は、JPC 2026のデータを「子育て」というフィルターで読み直してみます。
FACT:まずはJPC 2026の総合ランキング
ランキング好きとして、まずはここから。
JPC 2026の総合TOP20は、
- 大阪市
- 名古屋市
- 福岡市
- 横浜市
- 京都市
- 神戸市
- 札幌市
- 仙台市
- 金沢市
- 広島市
- 松本市
- つくば市
- 浜松市
- 静岡市
- 豊田市
- 奈良市
- 浦安市
- 長野市
- 岐阜市
- 府中市
という結果でした。
大阪、名古屋、福岡、横浜、京都。
いわゆる「日本を代表する都市」が並びます。
一方で、松本、つくば、浦安、府中なども上位に入っている。
人口ランキングとは明らかに違います。
都市の「総合力」を測っているからこそ出てくるランキングです。
では、「子育てしやすい街」なら?
ここからが今回の本題です。
JPCは「都市としての総合力」を評価しています。
でも、子育て家庭からすると、6分野が全部同じ重要度ではありません。
例えば、
「文化・交流が強い」
「観光地が多い」
「ビジネスの活力が高い」
ということは、都市としては非常に重要。
でも、
2歳児2人を毎日育てる親にとって、それがどれくらい生活を楽にしてくれるのか?
と考えると、話は変わります。
むしろ重要なのは、
- 住宅
- 医療
- 育児・教育
- 生活利便性
- 安全
- 交通
- 環境
- 生活の余裕
ではないでしょうか。
実際、JPCの「生活・居住」には、
安全・安心、健康・医療、育児・教育、市民生活・福祉、居住環境、生活利便施設、生活の余裕度
という7つの指標グループが含まれています。
これはかなり子育てとの相性がいい。
そこで、JPCを「子育て版」に再採点してみる
もちろん、これは森記念財団が発表した公式ランキングではありません。
あくまで、
JPC 2026のデータを、子育て世帯にとって重要な順番に読み替えた「筆者試算」
です。
私なら、こんな重み付けにします。
| 分野 | 総合都市ランキング | 子育て版 |
|---|---|---|
| 経済・ビジネス | 16.7% | 10% |
| 研究・開発 | 16.7% | 5% |
| 文化・交流 | 16.7% | 5% |
| 生活・居住 | 16.7% | 35% |
| 環境 | 16.7% | 20% |
| 交通・アクセス | 16.7% | 25% |
子育てでは、
「稼げる街」より「暮らせる街」
を重視する。
さらに生活・居住の中でも、
- 育児・教育
- 健康・医療
- 安全・安心
- 居住環境
- 生活利便施設
- 生活の余裕度
を重視します。
交通についても、単純な駅の多さだけではなく、
「子どもを連れて移動しやすいか」
という観点で考えたい。
JPCの交通・アクセスには、公共交通、駅・バス停密度、渋滞、空港アクセス、新幹線、インターチェンジ、通勤時間、自転車の利用しやすさまで含まれています。
そして出てくる「子育て版TOP5」
ここはかなり面白い。
JPCの「生活・居住」ランキングを見ると、TOP5は、
🥇 1位 名古屋市
🥈 2位 豊中市
🥉 3位 吹田市
4位 浦安市
5位 大阪市
となっています。
つまり、総合ランキングでは大阪1位、名古屋2位だったものが、
「暮らし」に絞ると名古屋が1位、大阪は5位。
さらに豊中、吹田、浦安といった「大都市そのものではない都市」が上位に入ってきます。
この変化、かなり面白くないでしょうか。
🥇 1位:名古屋市
「都市力」と「生活の余裕」のバランスが強い
子育て目線で最も強いと思ったのが名古屋。
JPC総合でも2位ですが、生活・居住では1位。
しかも、研究・開発も1位。
つまり、
仕事・研究 × 住宅・生活
のバランスが非常にいい。
JPCでも、生活・居住について「居住環境」や「生活の余裕度」が大きく改善したと評価されています。
一方で、「安全・安心」「育児・教育」は評価を落としているという指摘もあります。
ここが面白いところ。
完璧な街ではない。
でも、
都市としての機能を維持しながら、家族で暮らすための余白も確保しやすい。
このバランスが強い。
双子育児では、この「バランス」がかなり重要だと思います。
🥈 2位:豊中市
「大都市の近くで、生活に振り切れる」強さ
総合ランキングでは上位20位にも入っていない豊中市。
ところが「生活・居住」では2位。
ここに、子育てランキングの面白さがあります。
都市としての経済力や文化力では大阪にかなわなくても、
「家族が暮らす」
という目的なら評価が逆転する。
大阪都市圏の巨大な経済・文化機能を享受しながら、生活面では別の強みを持つ。
これって、子育て世帯にとってかなり合理的です。
「都心に住む」ことと、
「都心を使える場所に住む」
ことは違う。
子育てでは後者が強いケースもありそうです。
🥉 3位:吹田市
「仕事へのアクセス」と「生活」の中間地点
3位は吹田市。
これも豊中と似た面白さがあります。
大都市圏のメリットを享受しながら、住環境にも重点を置ける。
子育て世帯にとっては、
「職場までのアクセス」
と
「家族が暮らしやすい環境」
の両方が必要。
特に共働き家庭では、
通勤時間が短い
ということ自体が、実は子育て支援なのではないでしょうか。
保育園のお迎えに行く。
夕食を作る。
お風呂に入れる。
寝かしつける。
毎日のこの時間を考えると、通勤時間の10〜20分の差が積み重なっていきます。
4位:浦安市
「子育て都市」として考えると急浮上
浦安市も面白い。
JPC総合では17位。
ところが生活・居住では4位。
つまり、
「都市としての総合力」より「家族が暮らす場所」としての強さが際立つ都市
です。
これはまさに、子育てランキングを作る意味そのもの。
都市のブランド力や経済規模だけではなく、
住宅、生活利便性、安全、教育、交通、余裕
という視点で見ると、評価が変わってくる。
5位:大阪市
総合1位は、子育てでも強い
そして大阪市。
総合ランキングでは堂々の1位。
生活・居住でも5位。
つまり、
「都市として強い」だけではなく、「暮らす場所としても強い」。
ここはやっぱり強いです。
JPCでは、経済・ビジネスと交通・アクセスがともに分野別1位。
研究・開発も5位まで上昇し、生活・居住では「生活の余裕度」の評価も改善しています。
都市としての総合力が高いので、
- 仕事
- 医療
- 教育
- 買い物
- 娯楽
- 交通
といった生活インフラを一つの都市圏で完結しやすい。
これは子育てでも大きな強みです。
でも、双子育児になるとランキングはさらに変わる
ここからが、今回の個人的なInsightです。
「子育てしやすい街」と、
「双子を育てやすい街」
は、たぶん同じではありません。
例えば、子ども1人なら、
「駅徒歩10分」
で問題ない。
でも2人になると、
- ベビーカー
- 2人の子ども
- 荷物
- 雨
- 買い物
- 病院
- 保育園送迎
が全部セットになります。
つまり、
「移動のしやすさ」の重要度が一気に上がる。
INSIGHT① 双子育児では「住宅」の点数をもっと上げたい
JPCの生活・居住には、
居住環境
が含まれています。
ここを双子家庭ではかなり重視したい。
子どもが2人いると、
- おもちゃ
- 洋服
- ベビーカー
- 食事用品
- 将来の学習スペース
など、物理的なスペースが必要になります。
しかも、
「子どもが2人いる」=単純に1人の2倍
ではありません。
2人が同時に動き回るので、
「逃げ場」
「遊ぶ場所」
「親が休める場所」
まで必要になる。
だから双子家庭なら、
駅徒歩5分・60㎡
より、
駅徒歩15分・90㎡
を選ぶ合理性が生まれる場合があります。
INSIGHT② 「生活の余裕度」は双子家庭の隠れた重要KPI
JPCの指標の中で、個人的にかなり重要だと思うのが、
生活の余裕度
です。
JPCでは、
- 可処分所得
- 物価水準
- 住宅コスト
などから評価されています。
これ、子育て家庭にはかなり重要。
特に双子では、
食費、衣類、保育、教育、レジャーなど、同時に2人分の支出が発生します。
もちろん全部が単純に2倍ではありません。
でも、
「ちょっとした余裕」
が重要になる。
さらに、
住宅費が安い
↓
広い家に住める
↓
家で子どもを遊ばせられる
↓
外出頻度を減らせる
↓
親の体力も温存できる
という連鎖もあります。
だから、
「住宅コストの低さ」は単なる家計の話ではなく、育児負荷の話でもある。
と思います。
INSIGHT③ 「親の時間」を買える街は強い
双子育児で一番足りなくなるもの。
たぶん、
時間です。
だから、街の評価も、
「何があるか」
だけではなく、
「何分節約できるか」
で考えたほうがいい。
スーパーまで5分。
小児科まで10分。
保育園まで5分。
職場まで30分。
公園まで3分。
こういう「小さな時間短縮」が毎日積み重なります。
1日30分の差でも、
年間ではかなり大きい。
そして、その30分が、
子どもと遊ぶ時間になるかもしれない。
夕食を作る時間になるかもしれない。
親がコーヒーを飲む時間になるかもしれない。
あるいは、
何もしない時間
になるかもしれない。
双子育児では、この最後の「何もしない時間」が案外重要です。
ACTION PLAN:これから「住みやすい街」を見るときの7つの質問
JPCのランキングを見て終わりではなく、
自分の家族に当てはめるなら、こんなチェックをしてみたい。
① 家は広いか?
「駅徒歩」だけではなく、
子ども2人+荷物+ベビーカー
が入るか。
② 病院は近いか?
小児科だけでなく、
総合病院・休日診療
まで考える。
③ スーパーは近いか?
子ども2人を連れて買い物できるか。
④ 公園は近いか?
「車で15分」ではなく、
平日の夕方に歩いて行けるか。
⑤ 雨の日に生活できるか?
これ、双子家庭ではかなり重要。
⑥ 親の通勤時間は短いか?
通勤時間は、
実質的な子育て時間の減少
だからです。
⑦ 10年後も住みやすいか?
2歳の今ではなく、
小学生2人になったとき
まで想像する。
まとめ:ランキングは「正解」ではなく、考えるための道具
JPC 2026の面白さは、
「大阪が1位」
という結果だけではありません。
むしろ、
都市をどう評価するかによって、ランキングが変わる
ことに面白さがあります。
「都市としての強さ」なら大阪。
「生活・居住」に絞れば名古屋、豊中、吹田、浦安、大阪が上位。
そして、
「子育て」という目的を設定すると、さらに評価軸が変わる。
さらに、
「双子育児」という条件を加えると、住宅・移動・医療・生活の余裕度の重要性がもっと高くなる。
つまり、
「日本で一番住みやすい街」は存在しない。
あるのは、
「自分たちの家族にとって、一番暮らしやすい街」
なのだと思います。
双子育児をしていると、
「子どもにとっていい街」
だけでは足りない。
親が疲れ切らない街。
家族に時間の余白が残る街。
10年後も暮らし続けられる街。
そんな街を選ぶことが、実は一番の子育て支援なのかもしれません。


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